ユダの巣窟
01章

夜明け

…夢を見ていた。幼い頃の。馬鹿馬鹿しい。
あんなみみっちい話、あるわけないだろう。

そうは思っても期待してしまうのが人の性。

今日も仕事かぁ。かったるいなぁ。
とは言ってもお給金貰えないからな。ちゃんとしよ。

ベッドからのそりと滑り落ち全身鏡の前に着地した。鏡にはお世辞にも良い格好とは言えない青年が、ボロボロになった麻製の寝巻きを着ている姿があった。いかにも疲れている。

すぐそばに雑に放り置かれた真っ赤なズボン、赤と緑と白のひし形が集まっているトップスとそれと同じ柄で5つに割れた先に大きめの鈴が1個ずつついたペラペラの帽子が掛けてある。
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