ユダの巣窟
いつ殺されてもおかしくない状況をようやく察したのか、野次馬共は怯み、皆その場に服従の証を示すべく膝を立ててしゃがみ込んだ。

この体制は他にも、『これ以上申し上げることはない』ことも示す。

けれども当事者である僕はそうできない。エースもそうだ。

この後の処分はわからないが、関係の無い人らをこれ以上巻き込むのはやはりよくない。

僕のせいなんです。と言いかけた言葉は、

「これはこれは、麗しなる我が主よ。どうかこの醜男醜男(しこお)に崇高なる貴方様に、一連の終末を話させて頂けませんか?」

と、エースの声に揉み消された。

彼の美麗字句を聞き、満足そうな顔をうかべたアレッサは手を軽くあげ、『話しなさい』というサインを出した。
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