ユダの巣窟
悲しみだけでない。憎悪や哀愁、怒り、中には恐怖。
色々な感情が爪痕ごとに、時には交差して物語っていた。

(ここの犠牲者はどれだけ積もればいいんだ…。)

急に自分のしていることが酷く憎く、人として恥じるべき事だと感じた。

左手は鍵束を握りしめているが、その冷たさなんて一切分からなかった。

僕は悔しかった。なんとも言えない、自分の行いに怒りを感じているのか、思いどうりにならないこの人生を嘲笑っている誰かを妬んでるのか、知る由もなかった。
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