失恋ガール

ガラララ……教室のドアが開く。担任の高橋先生は、笑顔で教室に入ってくる。この顔の時は、大体生徒に話したいことがある時だ。

｢みなさん、おはようございます。今日は先生から話したいことがあります｣

ほら来た。やっぱりあるじゃないか。HRが長引くのは、あんまり好きじゃない。どうせ、合コンでイケメンがいたとかいう話ではないのか。

｢この時期に珍しいのですが、私達のクラスに転校生が来ました！岡本くん、入ってきていいよ｣

岡本くんと呼ばれた転校生はドアを開けて入ってくる。

驚きのあまり、私は持っていたシャーペンを机に落とす。その音が教室に響きわたり、数人が私の方を向く。いつもなら恥ずかしい気持ちでいっぱいだったが、今はそれどころではなかった。転校生が来たことには、確かに驚いた。しかし、私が驚いたのは、転校生の顔だ。私はその顔をよく知っている。3年前とは、かすかに雰囲気が違うが間違いない。小6の時に初めて告白した相手、岡本理音だ。髪型さえ変わってはいたが、微かにつり上がった眉、ぱっちりとした目、口元のホクロ……間違いなく彼だった。親の転勤で転校していったが、また再会するとは思ってもいなかった。

彼は、黒板に綺麗な字で自分の名前を書いていく。そして振り返り、自己紹介を始めた。

｢岡本理音です。小6の時に転校したんスけど、また戻ってきました。よろしくお願いします｣

｢はい！自己紹介ありがとう。じゃあ、岡本くんは……大友くんの隣に座ってください｣

分かりましたと言い、彼は翼の隣に座る。翼とは小学校が違ったから、お互い初対面で挨拶を交わしている。翼は人との接し方が上手いから、すぐに仲良くなれそうだ。

理音は私の方をチラッと見る。目が合ってしまい、互いに顔を逸らした。

……私の事気づいたのかな？