ゆるふわな君の好きなひと
「だから、その分、その人と拗れたときにちょっと荒れる。生活態度乱れたりとか、誰の言うことも全然聞かなくなったりとか。俺が知る限りは、これまでにこういうことが二回あった。一回目は、あいつのおねーちゃんが大学進学に合わせてひとり暮らし始めたときで、二回目は、中二で俺が璃美と付き合いだしたとき」
一回目の原因は由利くんの家族の話からなんとなく想像できたけど、二回目はちょっと意外。
驚いて目をパチパチさせると、眞部くんが恥ずかしそうに苦笑いした。
「あ、でも、二回目の理由は圭佑に確かめたわけじゃなくて、たぶんってことね。璃美との予定ばっかり優先させて、圭佑との約束忘れたら、そこからしばらく無視されて、学校サボりがちになったんだよ、あいつ。中三になったときに、圭佑の担任に、あいつの成績ヤバいから声かけてくれって頼まれて。それから世話焼くようになったら、いつのまにかまた、何事もなかったみたいに話しかけてくるようになったけど」
あぁ、そうか。そういうのもあって、眞部くんは過保護なくらいに由利くんの保護者役をやってるのか。
由利くんのおねーちゃんが抜けた分まで。
そう考えると、眞部くんと由利くんの関係に違和感なく馴染んでいる璃美ってすごい。