ゆるふわな君の好きなひと
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眞部くんと話したあと、わたしはひとりで学校を出た。
わたしの家は、学校から徒歩で二十分くらいの場所にある。
家と学校のちょうど真ん中あたりが、鉄道の駅。駅前にはファーストフード店とかカラオケとか、高校生が学校帰りに立ち寄れる場所がそれなりに揃っていて、放課後になると、うちの高校の生徒をよく見かける。
家に向かって速足で歩いていると、前に璃美や由利くんたちと一緒に行ったカラオケ店から、男女の高校生グループがぞろぞろと出てきた。
一番前を歩いてくる女子が着ているのは、うちの高校の制服だ。
何気なく視線を向けた集団の中に、薄茶の髪をした背の高い男子が混じっている。
集団の中で少し浮いて目立っているのは、由利くんだった。
つまらなそうな顔をして、集団の最後尾を気怠げに歩いている由利くんの左腕に、女子の腕が絡められている。