ゆるふわな君の好きなひと

 由利くんの隣にいるのは、わたしたちと同学年の岡崎さんだ。

 隣のクラスだから合同体育のときに顔を合わせるけど、わたしとはほぼ交流はない。

 由利くん、カラオケ嫌いなくせに。

 眞部くんの連絡を無視して、部活をサボって、こんなところで遊んでたんだ……。

 岡崎さんにべったりくっつかれてるけど、この前、由利くんが体育館のそばで連絡先を教えていた一年生の子はどうしたんだろう。

 由利くんの左側に並んだ岡崎さんは、嬉しそうな笑みを浮かべながら、一生懸命に彼に話しかけている。

 そんな彼女に対して、由利くんは適当な相槌を返しているみたいだった。

 おもむろにポケットからスマホを取り出して、そこに視線を落としている由利くんは、隣の岡崎さんにはまるで興味なさそう。

 だけど、彼女のほうは由利くんに興味津々みたいで。彼の左腕に擦り寄って、必要以上にベタベタしている。

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