ゆるふわな君の好きなひと

 岡崎さんに連れられてファーストフード店に入っていく由利くんは、わたしのことを振り返らなかった。

 自動ドアの向こうに消えていく由利くんの薄茶の髪を目で追いながら、泣きたい気持ちをグッと堪える。


 きっと由利くんは、すぐにわたしに代わる誰かを見つけるだろう。

 由利くんのことが好きな人も、彼に構いたい人もたくさんいるはずだから。

 学校を出る前、眞部くんは「圭佑のこと見捨てないでやって」って、わたしに言った。

 だけど、見捨てたのはわたしじゃない。

 わたしが、由利くんに見捨てられてしまったんだ──……。


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