ゆるふわな君の好きなひと

「あ、うん……」

 体育のときにペア練習があると、わたしはだいたい同じクラスの咲良と組む。

 璃美も、同じクラスの仲良しグループの誰かと組んでいることが多い。

 きょろきょろとあたりを見ると、わたしがぼーっとしているあいだに他のみんなはペアを作って、肩慣らしにボールを投げ合い始めている。

 咲良も、璃美の友達とペアになって既に練習を始めていた。

 珍しい組み合わせだな、と思って見ていたら、璃美がふふっと笑う。


「ごめん。咲良ちゃんに、つーちゃんと組みたいからって言って、ペア変わってもらっちゃった」

「そうなの?」

「うん。つーちゃん、この頃、あんまり元気ないから気になって」

 足元に目線を落としながら、璃美が地面にボールをバウンドさせる。


「わたしは元気だよ」

 笑ってそう言うと、地面から跳ね上がってきたボールを両手でキャッチした璃美が顔をあげた。

 璃美がわたしと話したいのは、きっと由利くんのことだろう。

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