ゆるふわな君の好きなひと
「あ、そうだ。由利くんに部活行くように、岡崎さんから話してもらうのはどうかな。なんか、仲良さそうだったし。適役かも」
そう言いながら頭のなかに思い浮かべていたのは、駅前で岡崎さんが由利くんに腕を絡めていたワンシーン。思い出すと、まだ胸が少しちりちりとする。
だけど……。
「そうかなー? 由利くんと岡崎さん、別に仲良くないと思うよ」
璃美はきっぱりと、由利くんと岡崎さんの関係を否定した。
「こないだ岡崎さん、教室で大きな声で愚痴ってたもん。由利くんが全然、遊びの誘いに返事くれないって」
「え……?」
由利くん、岡崎さんと映画デートしてないの……?
岡崎さんのほうが、かなり積極的だったから、絶対にふたりで遊びに行っていると思ってた……。
「最近、由利くんが部活サボって放課後に駅前で遊んでるって話はよく聞くけど……。だいたいグループで遊んでて、女の子とふたりだけってことはないみたいだよ」
「そう、なんだ……」
色々と勝手な想像をしてしまっていた分、璃美の話を聞いて少し安心する。