ゆるふわな君の好きなひと
「実は、二日くらい前にね。部活帰りに、駅前で由利くんがグループで遊んでるところを見かけたんだ。晴太が、部活サボって何やってんだって声かけに行ったら、『うっさい』って睨んで跳ね除けてきて。由利くん、絶賛反抗期継続中だったよ」
「なにそれ」
ふっと笑ったら、璃美もわたしにつられたみたいに笑う。
それから、なんだか憂えたような目でわたしのことを見てきた。
「そのとき由利くんが遊んでたグループ、けっこう派手で賑やかだったのね。他クラスの女子も二人くらいいて、由利くんのそばにずーっとくっついて話してて。由利くんも、その場の雰囲気に合わせていちおう笑ってたんだけど、全然楽しそうじゃなかったよ」
なんで、急にそんなこと言うんだろう。璃美の意図がよくわからなかった。
「だけど由利くんて、つーちゃんといるときは、ちゃんと楽しそうに笑ってたんだよね。由利くんて、だいぶつーちゃんのこと好きだったと思う」
ドキッと動揺を見せたわたしに、璃美が笑いかけてくる。
「晴太が言うには、『たぶんあいつ、思いどおりにいかなくて拗ねてるだけだ』って。めんどくさいよねー、由利くん」
璃美は、まだ仲直りできるチャンスが残ってるって言いたいのかな……。
ちゃんと話したことはないけど、ここまで言ってくるってことは、璃美も気付いてるんだよね。
わたしが好きな人は由利くんだ、って。