ゆるふわな君の好きなひと

 顔を赤くしてうつむくと、璃美がわたしに向かってボールを軽く投げてきた。


「練習しよっか」

「わー、ちょっと。投げてから言わないで……!」

 なんとかボールをキャッチして、咲良たちのペアの横に並んで練習に加わる。

 ペアでボールを投げる練習をさせられたあとは、校庭にあるハンドボール用のコートとゴールを使って、ペアでのシュート練習をさせられた。


「今日暑いから、軽めにやらないとキツいよね……」

 璃美と話しながら、自分達の順番が回ってくるのを待っていると、後ろのほうで「うそー、やったじゃん!」という声が聞こえてきた。

 思わず振り返ると、二列後ろに岡崎さん達のグループがいて。岡崎さんを囲んで、なにやら盛り上がっている。


「よかったねー。やっと、念願のデートじゃん」

 別に聞くつもりもなかったし、全然聞きたくなかった。

 それなのに、勝手に耳に入ってきた情報が、胸をざわつかせる。

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