ゆるふわな君の好きなひと

「ゆ、由利くん。ちょっと離れて。そこに大野先生だっているし……」

 今さらだけど、カーテン越しに会話が筒抜けだったんじゃ……。

 ドキドキして、恥ずかしくて。とにかくじたばた抵抗すると、由利くんがわたしに抱きつく両腕に力を入れる。


「ゆ、由利くん……!」

「大野先生だったら、おれが保健室に入ってくるのと同時に呼び出されて出てったから大丈夫」

「そうなの?」

「うん。今は、おれと青葉のふたりだけだよ」


 ふたりだけ……。

 ふふっと耳元で甘い笑い声がして、ちゅっと頬に由利くんの唇が触れる。

 それだけで真っ赤になってプルプル震えていると、由利くんがわたしを拘束していた腕を緩めた。


「大丈夫。別にヘンなことするつもりないし」

「へ、ヘンなことって?」

 ドキドキしながら訊き返すと、由利くんが「さぁ?」と曖昧に笑いながら首を傾げた。

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