ゆるふわな君の好きなひと
「とりあえず、次の授業始まるまで一緒にいようよ」
わたしの頭の後ろに腕を回した由利くんにグイッと引き寄せられて、おでこが彼の胸にくっつく。
さっきの無理やりにしがみついてくるみたいなやり方とは違って、正面から優しく包むように抱きしめられて、心音がドクドクと速くなった。
「ゆ、由利くん……」
こんなふうにすごく大切なものみたいに包み込まれたら、恥ずかしくて、どうすればいいかわからなくて。抵抗する言葉すら出てこない。
ドキドキしながら身を固くしていると、由利くんがふわっと後ろ髪を優しく撫でてきた。
「昼寝でもしよっか」
「え、寝るの?」
「うん。なんかこの頃モヤモヤしてたから、朝起きてもあんまり寝た感じがしなくって」
「眠たいの?」
「んー。だいたい一日十二時間くらいは寝ないと睡眠不足じゃない?」
「由利くん、それはちょっと寝すぎだと思う……」
一日の半分は寝てる計算になっちゃうじゃん。
苦笑いを浮かべていると、胸元に寄せたわたしの顔を覗き見てきた由利くんに、よしよしと頭を撫でられた。