ゆるふわな君の好きなひと

「ほら、青葉も寝な。手、ケガしてるし」

「突き指だから、寝たって治らないよ」

 それに、たった今、由利くんと付き合えることになって気持ちが昂ってるし。

 抱きしめられた状態で、顔も身体も火照ってるし。ドキドキして眠れる状況じゃないんだけど……。

 それなのに、由利くんは何とも思わないのか、呑気に欠伸しだした。


「青葉が隣にいると、あったかくてなんか落ち着く……」

 もぞもぞとわたしに寄り添ってきたかと思うと、目を閉じて、十分も経たないうちに本当に寝始めてしまう。

 相変わらず、自由で気まぐれな人だ。

 だけどそういうところも愛おしいと思ってしまう。

 そんな自分に苦笑いした。

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