ゆるふわな君の好きなひと
◇◇◇
「——ちゃん、つーちゃん」
ゆらゆらと左右に身体を揺すられて目を開ける。
ぼんやりとする視界のなかで、呆れ顔の璃美の輪郭がまずクリアになって……。
それから、徐々に思考もクリアになった。
あれ。わたし、由利くんとふたりでベッドに寝転んだまま、一緒に寝ちゃってた……?!
慌てて起きあがろうとしたけど、身体が重くて身動きとれない。
窮屈だなと思ったら、わたしの腰に両腕を回して眠る由利くんに、抱き枕代わりにされていた。
もぞもぞと動いてみても、由利くんの腕はわたしの腰のあたりにしっかりと巻き付いていて解けない。
由利くんの腕や身体を押したり引っ張ったりしてみても、彼は窓から差し込む日光を浴びてすやすやと気持ちよさそうに眠っている。
時間をかけて上半身を起こしてベッドに座り直していると、呆れ顔の璃美にため息をつかれた。
「保健室に行ったきり全然戻ってこないから、予想以上に重症で親でも呼ばれたのかと思って心配したんだけど。まさか、由利くんとふたりで寝てたとは……」
「ご、ごめん……」
指をケガしたとはいえ、授業をサボって随分と大胆なことをしてしまった。
恥ずかしさで、頬が熱くなる。