ゆるふわな君の好きなひと

「大丈夫。おれ、青葉以外に興味ないから」

 笑顔の由利くんが、やけにきっぱりとした口調で言うから、心臓がひっくり返るかと思った。


「あんまり大きな声で言われたら、恥ずかしいよ……」

 誰かに聞かれるかもだし……。


「じゃぁ、次は小さめの声にするね」

 そういうことでもないって思ったけど、にこっと無邪気に笑いかけてくる由利くんに、もう何も言えない。

 顔を赤くしていると、一時間目の授業の先生が入ってきてチャイムが鳴った。


「青葉」

 パタパタと自分の席に戻っていくクラスメートたちの雑踏に紛れて、由利くんが少し甘い声でわたしを呼ぶ。


「これ、ありがとう」

 貼ってあげた絆創膏を指差して、由利くんが笑う。

 わたしだけに向けられた優しい眼差しや溶けそうな笑顔に、のぼせてしまいそうなほど顔が熱くなって、ドキドキした。


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