ゆるふわな君の好きなひと
わたし達の変化に気付いた咲良が、
「今日、由利くんどうしたの? ひさしぶりに紬にベッタベタじゃん」
とニヤけ顔でからかってきたから、いろいろあったことを話した。
そうしたら、
「由利くん、顔はいいのに面倒くさい……。そんなのの相手できる変わり者、眞部くんか紬くらいだよ。頑張ってね」
と、苦笑いで祝福された。
わたし、変わり者なのかな。
顔を横にして机に伏せて入り由利くんの寝顔を見つめて、ふっと笑う。
薄茶の柔らかな髪が、窓から差し込む太陽の光を受けてキラキラしていて。それが、とても綺麗だ。
わたしが起こさなくても、きっとすぐに眞部くんが起こしてくれるよね……。
迷った末に、わたしは由利くんを起こさずに放っておくことにした。
そーっと静かに行き過ぎようとすると、急にスカートがグイッと後ろに引っ張られる。
「青葉、帰んの?」
掠れた声に呼び止められて振り向くと、わたしのスカートを右手でつかまえた由利くんが、眠そうに左手で目をこすっていた。