ゆるふわな君の好きなひと
由利くんとともに振り向くと、廊下の窓の向こうから黒髪の男子がにかっと笑いながら手を振っていた。隣のクラスの眞部 晴太だ。
眞部くんは由利くんの友人であり、彼が所属するバスケ部の部活仲間でもある。
ホームルーム終了後に眞部くんが由利くんに声をかけにくるのは、放課後の日課だ。
学校にいてもほとんど一日中寝てばかりの由利くんは、眞部くんが声をかけないと部活にも行こうとしない。
「放っとくと圭佑は全然動かないから」と、ぶつくさ言いながらもあれやこれや世話を焼いている眞部くんは、本当に由利くんの「保護者」みたいだ。
聞くところによると、由利くんと眞部くんは小学校の頃からの幼なじみらしい。
眞部くんが世話を焼いて甘やかすから、由利くんは自分から動かない子になっちゃったのかもしれない。
「俺ら、放課後にマックに寄ってテスト勉強しようと思ってるんだけど。圭佑どうする? 一緒に勉強する?」
眞部くんが教室の外から由利くんに声をかけてくる。眞部くんの隣には、その彼女の泉尾 璃美がいた。