ゆるふわな君の好きなひと
由利くんを中心に男子バスケ部の練習を見ていたら、ホイッスルが鳴って集合がかかった。
キャプテンの眞部くんを中心に部員たちが集合するのをぼんやり見つめたあと、体育館の半面で活動している女子バスケ部の練習に視線を向ける。
タンタンとボールが床を打つ音、靴底がキュッと床を擦る音、体育館の中にこもる熱気。
それらを目や耳や肌で感じていたら、中学時代の部活動を思い出してなつかしい気持ちになった。
女子バスケ部も活気があって楽しそう。中学時代に膝を痛めなければ、わたしもあそこに居たかもしれない。
身体を動かしたくてうずうずする気持ちを抑えていたら、ユニフォーム姿の由利くんがにこにこしながら寄ってきた。
「青葉ー、水ちょーだい」
「はい」
休憩にしにきた由利くんにペットボトルを手渡す。
ついでに預けられていたフェィスタオルも渡すと、それを肩にかけた由利くんが顔の汗を拭いて、ふにゃっと笑った。