ゆるふわな君の好きなひと
「由ー利ーくん! 水分摂ったらさっさと戻ってきて。いつまでつーちゃんとイチャイチャしてんの」
ホイッスルを首から下げた璃美が、由利くんの腕を乱暴に引っ張ってわたしから引き離す。
「ご、ごめん……。わたし、邪魔してる?」
ヘラヘラしている由利くんに代わって謝ると、璃美が首を横に振った。
「全然。つーちゃんがいるから、由利くん、普段よりも真面目に練習してるもん。水飲みに行ったらなかなか戻ってこないっていうことを除けば、つーちゃん効果、最高。いつもいて欲しいくらい。つーちゃん、わたしと一緒にマネージャーやらない?」
「え……」
「やんないよ」
璃美から誘われて一瞬迷いを見せると、それまでヘラヘラしていた由利くんが、わたしの代わりに答えて、眉間を寄せた。
「なんで由利くんが決めんの。わたしはつーちゃんに声かけてるの。もう二年だし、今さら部活に入るとか微妙かもだけど……。もうすぐ夏休みに入るから、練習時間も長くなるし。つーちゃんと一緒にできたらわたしも楽しい」
璃美が一歩近付いてきて、わたしの手をとる。
これは割と本格的に誘われてるな……。それがわかったから、わたしも適当な返事はできなかった。