ゆるふわな君の好きなひと
「誘ってもらったのは嬉しいけど、わたし——」
「だから、どんだけ誘ったってダメだって。青葉がほかの男のサポートすんの、嫌だし」
しばらく考えてから断ろうとすると、椅子に座るわたしの後ろに回り込んできた由利くんが、背中から後ろに引き寄せるように抱きしめてきた。
呆気にとられている璃美の前で、わたしの顔が熱を持ってじわじわと火照っていく。
「え、な、由利く……」
人前で引っ付かれてジタバタと焦っているのはわたしだけで、由利くんは他人の目なんて少しも気にしてない。
振り向いて見た由利くんは、わたしをぎゅっと抱きしめたまま不機嫌そうに璃美を睨んでいた。
「うわー。由利くんて普段はまったく他人に興味ないくせに、気に入ってる人への執着はほんとすごいよね。独占欲やば……」
「は?」
不機嫌そうな低い声を出す由利くん。
真っ赤になるわたしの頭上で、由利くんと璃美の視線がバチバチと戦い合っているのがわかる。
恥ずかしいし、めちゃくちゃ気まずい。
「あの、璃美。誘ってもらったのは嬉しいけど、わたし、マネージャーはやめとく……」
とりあえず璃美からの誘いは断ると、由利くんがわたしの耳元で「だって」と得意げに言う。