ゆるふわな君の好きなひと
「つーちゃん。また由利くんにつかまってる……」
わたしのスカートが由利くんにつかまれていることに気付いた璃美が、うっすらと苦笑いを浮かべている。
璃美は男子バスケ部のマネージャーをしていて、眞部くんや由利くんとは同中。
眞部くんと璃美は中学時代からバスケ部員とマネージャーの関係だったらしく。ふたりは中三の頃から付き合っている。
わたしと璃美は高一のときにクラスが一緒になったことで仲良くなって、高二になってクラスが別れてた今でも、たまに一緒に遊ぶ。
璃美とはすごく気が合うし、一緒にいて居心地がいいのだ。
青葉 紬という名前のわたしのことを、最初に「つーちゃん」と呼び始めたのも璃美だった。
「じゃぁ、つーちゃんも俺らと一緒にマック行かない? 圭佑、テスト前でも全然やる気ねぇから、つーちゃんが教えるの手伝ってくれたら助かる」
璃美がわたしのことを「つーちゃん」と呼ぶから、彼氏の眞部くんもわたしのことを気軽に「つーちゃん」と呼ぶ。
眞部くんに笑顔で誘われて、どう返事するか迷う。
由利くんに視線を向けると、彼がわたしのことを上目遣いにジッと見てきた。