ゆるふわな君の好きなひと
◇◇◇
練習が終わったあと、座っていた椅子を片付けて体育館の隅で待っていたら、着替えを済ませた璃美が駆け寄ってきた。
「つーちゃん、お疲れさま」
「お疲れさま」
「ずっと座ってて疲れなかった?」
「大丈夫。練習見てるの、楽しかったよ」
由利くんのかっこいいところもちゃんと見れたし。
休憩の度にわたしのところまで嬉しそうに水を取りにくる由利くんは可愛かったし。
部活中の由利くんのことを思い出しながら、璃美ににこにこと笑いかける。
「そっか、よかった。つーちゃん、このあと一緒に帰るでしょ? ひさしぶりに四人でどこか寄る?」
会話の流れであたりまえみたいに訊ねてくる璃美に頷きかけて、ふと一瞬思いとどまる。
由利くんはわたしと一緒に帰りたがってたけど、それって璃美や眞部くんとも一緒にって意味かな。それとも、ふたりだけでって意味だったのかな。
考えていると、眞部くんや他のバスケ部のメンバーが着替えを済ませてぞろぞろと出てきた。
そのなかに、由利くんの姿はない。のんびり着替えてるのかな……。
由利くんがいつ出てくるかと気にしていると、部員たちの輪から抜け出した眞部くんが、わたしと璃美に近付いてくる。
「つーちゃん、お疲れさま」
「お疲れさま」
「今日はありがとね」
笑いかけたら、眞部くんにお礼を言われた。
たぶん、由利くんの気まぐれに付き合ってくれてありがとうってことだろう。
口角をあげて頷くと、眞部くんもにこっと笑ってくれた。