ゆるふわな君の好きなひと
部活の途中で「あとで遊ぶ?」って聞かれたけど。
本気だったんだ……。
由利くんが約束を守ってくれたことが嬉しくて、胸がキュンとする。
ゆっくりと歩いてくる由利くんを見つめていると、
「ほら、俺ら邪魔だって」
という眞部くんの声が、少し遠くに聞こえてきた。
「邪魔……?」
「だから、璃美ちゃんは俺とデートね。バイバイ、つーちゃん」
「え、ちょ……。晴太……!」
璃美の手をぎゅっと繋いだ眞部くんが、わたしを見てニヤッと笑いながら手を振る。
「う、うん。バイバイ……!」
璃美と眞部くんが行ってしまうと、静かな体育館でわたしと由利くんのふたりきりになった。
わたしから一メートルくらい離れたところで立ち止まった由利くんが、肩にかけていたカバンを下ろして両手でボールを持ち直す。
「青葉、遊ぼー」
首を傾げてにこっと笑いかけてくる由利くんの薄茶の髪が、ふわっと揺れる。
「うん……」
笑って頷くと、由利くんが投げたバスケットボールが、上空で綺麗に弧を描いた。