ゆるふわな君の好きなひと
おれのトクベツ
授業終了のチャイムを遠くに聞きながら、陽だまりのなかでふわーっと欠伸する。
まだ眠いし、ついでにもう一時間寝よっかな。
おれの場所と決めている、保健室の窓側のベッド。
その布団の中でもぞもぞと動いて、窓のほうに背を向ける。
秋の太陽の柔らかな日差しを後頭部に受けながら目を閉じかけたとき、ベッドの仕切り用のカーテンがザッと思いきり開かれた。
「やっぱり、ここにいた」
深いため息とともに耳に届くのは、おれの好きな心地よい声。
「青葉だ」
ゆっくりと目を開けて笑いかけると、青葉が眉をハの字にして困った顔でおれを見ていた。
困らせるのはよくないってわかってるけど、青葉の困った顔はわりと好き。
真面目でしっかりしてるのに、困った顔の青葉は頼りなさげで可愛い。
約一時間ぶりに顔を合わせたカノジョのことを、布団の中からじーっと見上げていると、青葉がますます困ったように眉根を寄せた。