ゆるふわな君の好きなひと


「青葉、あったか……」

 耳元でささやいたら、腕のなかで暴れていた青葉が急におとなしくなった。

 意識されてるのか、耳が真っ赤だ。


「このまま青葉も一緒に寝よ」

 保健室の窓側のベッドは日当たりが良くて、昼寝するのに最高だ。

 プラスして、青葉がそばにいてくれたらあったかくて心地よくて安心できる。

 うとうとと目を閉じかけていると、顔をあげた青葉が、おれの頬を両手で包んでグイッと顔をあげさせた。


「今日は寝ないよ。テスト前だもん。由利くんも、テスト前は授業ちゃんと出たほうがいいよ」

 眉根を寄せて上目遣いな青葉を、ぼんやりと見つめる。

 ちょっと前までは、青葉もおれの言うことに簡単に流されてたのに。

 おれの対応に慣れてきたのか、もともと真面目だからか、最近はちょっとだけ手厳しい。

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