ゆるふわな君の好きなひと
君の気まぐれ
中間テスト最終日。一時間目の英語のテストに備えて英単語の最終チェックをしていると、咲良が単語帳とノートをを持って近付いてきた。
「おはよ、紬。どれが出ると思う?」
「うーん、これとかこれは出そう。綴り似てるけど意味が違う。あと、ここの文法は先生が授業中に何回も注意してたから出るかも」
「あー、そっか。さすが紬。真面目に授業受けてるもんね」
「真面目かどうかはわかんないけど……」
わたしはただ、授業中に堂々と寝たりできないだけだ。由利くんみたいに。
机に伏せてすやすや寝ている由利くんの姿を思い浮かべて苦笑いを浮かべたとき、ペタペタと上履きの底を引き摺る音がして、由利くんが教室に入ってきた。
テスト期間は出席番号順に座席に座るから、一番のわたしは必然的に廊下側の列の一番前になる。
教室のドアに一番近い場所に座っているわたしと目が合うと、由利くんが眠そうな顔にふにゃっと笑顔のせた。
「おはよ」
「おはよう」
「つーちゃん、おはよ」
由利くんに挨拶を返していると、一緒に登校してきた璃美と眞部くんがドアからひょこっと顔を覗かせて手を振ってくる。
「璃美と眞部くんも、おはよう」
朝からゆるーいローテンションの由利くんと違って、璃美と眞部くんの表情は明るく爽やかだ。