ゆるふわな君の好きなひと
「今日でテスト終わりだね。つーちゃん、テストのあとって何か用事ある?」
「ないよ」
「だったら、テストの打ち上げでカラオケ行こうよ。明日からはまた放課後に部活が始まるし。ひさしぶりにみんなで一緒に遊ぼう」
璃美が言う「みんな」とは、璃美と眞部くんと由利くんとそれからわたし。
わたしは帰宅部だけど、璃美たちは普段は部活で忙しい。
だから、部活が休みになるテスト週間の最終日に、璃美は「打ち上げ」と称してよくわたしのことを遊びに誘ってくる。
「カラオケ、いいよ」
「よかった。じゃぁ、テスト終わったら昇降口前集合」
「つーちゃん、圭佑のこと連れてきてね」
眞部くんが、璃美の横から言葉を挟んでくる。
「青葉に連れて行かれなくても自分で行けるし」
眞部くんのおせっかいに、由利くんが眉をしかめる。
「じゃぁ、つーちゃん、由利くん、あとでね」
「圭佑、テスト中寝んなよ」
「テスト中は、いつも起きてる」
去り際に眞部くんにぽんっと肩を叩かれた由利くんは、眉間を寄せて唇をちょっとへの字に曲げていた。