ゆるふわな君の好きなひと
「わたしは璃美と仲良いいいから、気まぐれにつきあわされてるだけなんだよ」
「はいはい。もういっそのこと、紬から告りなよ。由利くんてそういうの無頓着そうだし。待ってるだけだと進展なさそうだもん」
「もうそういうのはいいから。今からテストだよ」
こんな話していたら、テスト中も由利くんのことが気になって集中できなくなりそうだ。
「紬、ほんと真面目だよね」
英単語帳を開いて、机の上に指で綴りをなぞるわたしを、咲良が呆れ顔でからかってくる。
別に、真面目とかそういうんじゃない。ただ、冗談でも恋バナははずかしいし。
咲良がいうとおり、もしかしたら由利くんのわたしに対する絡み方が他の子とは違うかも……という自惚れは少しあるけど、絶対にそうだという自信はない。
とにかく、今はテストに集中!
既に完璧に頭に入っている英単語を反復確認していると、一時間目の予鈴が鳴った。