ゆるふわな君の好きなひと
由利くんはいつも適当だし、名前も覚えていないような子たちからの遊びの誘いに流されがちだけど……。意外に好きなものはちゃんと自分で選んでるらしい。
それがわかって、ちょっと安心。
わたしが安心なんて思うのも変かもしれないけど。
少し前に、自分が由利くんにとって眞部くんが不在のときの保護者代理だと認識したばかりだから、余計にそう思うのかもしれない。
黙って考えているうちに、眞部くんの歌が終わる。
「なに、青葉?」
ポテトの合間にドリンクを挟んだ由利くんが、ストローに口を付けながら不思議そうに見てくる。
「なんでもない。由利くんて、ほんとに眞部くんや璃美のこと好きなんだなーって思っただけ」
「なにそれ」
ストローでドリンクを啜りながら、由利くんは怪訝に眉を寄せていた。