ゆるふわな君の好きなひと

「だめ。最後までちゃんと自分でやらないと」

 甘い笑みに流されないようにと眉間に力を入れると、由利くんがちょっとわざとらしく唇を尖らせた。


「青葉って、全然融通効かないよね。そういうとこ、晴太と一緒だ」

 わたしのカーディガンの袖を引っ張りながら、由利くんが不服そうにつぶやく。


「だって、眞部くんから由利くんのこと頼まれちゃってるし。今日はわたしが保護者代理だよ」

「おれの周り、保護者ばっかりでほんと面倒ー」

 嫌そうに眉を寄せた由利くんが、わたしのカーディガンの袖から手を離す。

 由利くんの言動に深い意味などないとわかっているけど、「面倒」という一言が、「部活出るよりも青葉といるほうが楽しい」という少し前の発言とは矛盾している気がした。なんだか、胸がもやっとする。

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