ゆるふわな君の好きなひと
「由利くん、モテるし、彼女作ればいいのに。きっと、由利くんが望むように甘やかしてくれる女の子がたくさんいるよ」
綺麗な作り笑いを浮かべながらそう言うと、由利くんが不思議そうな顔で目を瞬かせた。
「どうしたの、急に。なんか怒ってる?」
ふわふわしてて適当なくせに、由利くんは変なところでちょっと鋭い。別に怒っているわけではないけど、ちょっとだけモヤモヤしてる。
本気じゃないくせに、わたしを期待させるような発言をする由利くんに。でも、そんなことは口にできないから、静かに首を横に振った。
「怒ってないよ。ただ、由利くん、都合よくわたしを頼ってくるくせに、融通効かないとか文句ばっかり言うから。テスト前に一緒に勉強したときも、晴太ならもっとわかりやすく教えてくれるとか嫌味言ったじゃん。だから、面倒なら、わたしよりも融通の効く子を探せばいいのに、って思っただけ」
うまく言えないモヤモヤした気持ちが少しくらい伝わればいい。
そう思って少し早口で淡々と話したのに、由利くんはわたしを見つめてヘラッと笑った。