ゆるふわな君の好きなひと
「んー、ビミョー。問題集提出しに行ってたら、部活の時間終わりそう。行ったってどうせ片付けだけだし、もう今日はいいや」
気怠そうにそう言うと、由利くんは机に身体を預けてグダグダとし始めた。
「片付けだけでも手伝ってきたら? 眞部くん、待ってるかもだし。問題集は、わたしが出しといてあげるよ」
「青葉って、真面目でおせっかいだよね」
問題集を持って立ち上がろうとすると、由利くんが顔をあげてクスッと笑う。
「嫌味言われてる?」
「褒めてるよ」
ニヤッと半月型に目を細める由利くんの表情は、どう見てもわたしをからかっていて。彼が口にした言葉とは矛盾している。
「部活、出るにしても出ないにしても、眞部くんには連絡入れなよ。課題終わらせたっ、て」
「はーい」
やる気のない返事をした由利くんは、カバンの中からスマホを取り出すと、机に寝そべりながら眞部くんにメッセージを打ち出した。
「うわ。片付けだけでも顔出せ、って。やっぱり、晴太と青葉っておれに言ってくることが似てるわ」
何回かメッセージをやりとりしたあと、由利くんがスマホを見つめて心底面倒臭そうにため息を吐く。