ゆるふわな君の好きなひと

「青葉―?」

 スマホ越しに聞こえてくる由利くんの声が、耳の奥に絡みついてくる。


 わたしを呼ぶ、甘えるみたいな少し掠れた声。その声が好きだと思う。

 その声に呼び止められると、いつも少しドキドキする。

 だけど、好きだから……。悲しい気持ちに支配されていると、捻くれた感情が沸いてくる。

 さっき付き纏われてた一年生のあの子はどうしたの? もう別れた? 

 あの子からメッセージが届いたら、由利くんはどうするの? 

 由利くんは、わたしからの返事、ほんとうに必要(いる)——?

 スマホ越しに、由利くんにそんな言葉をぶつけてしまいそうだ。

 一年生の彼女への嫉妬心を抱えたままのわたしでは、由利くんと笑顔で向き合えない。

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