幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜

プロローグ

「「ママ、見て! ちっちゃーい!」」

「陽太、楓太、しーっ! 小さな声でね」

「「わかった」」

いつもシンクロした返事をしてしまう双子の俺たちは隣の家に引っ越してきたおなかの大きかった女の人が赤ちゃんを抱っこしているのを見て驚いた。
ピンクのタオルに包まれ、眠っているその赤ちゃんはとっても小さくて、いい匂いがした。

「ようちゃん、ふうちゃん。ひまりっていうの。2人とも仲良くしてくれるかな? お兄ちゃんたち、ひまりのこと守ってくれないかな?」

「「いいよ!」」

2人でタオルの中を覗き込むと目が開いてニコッとしていた。とっても小さくてその柔らかなほっぺに触ると、ふぇ…と頼りなさげな声をあげてしまう。
可愛い……。
ちょっとほっぺを触っただけなのに、と思っていたらママに注意されてしまった。

「陽太も楓太も赤ちゃんはちょっとのことでビックリしちゃうのよ。優しくね。2人はお兄ちゃんだから守ってあげようね」

そう言われて、幼心にその小さな存在を大切にしなければいけないと思ったのを今でも覚えている。
< 1 / 53 >

この作品をシェア

pagetop