幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
「ごちそうさまでした」
私はお店を出ると楓ちゃんに頭を下げた。
すると楓ちゃんはいつも通り、頭をぽんぽんとして笑いかけてくれた。
「ひまり、このあとどうする?ちょっと買い物でも行かないか?」
「うん」
また、さっと私の肩を抱くように手を回し駅に向かう。
いつもと違うこの距離感にどうしたらいいのかよくわからない。
陽ちゃんなら気にもしないのに、楓ちゃんにされると何かが違う。
ショッピングモールに着くと雑貨や服を見ながらぶらぶらと歩き回る。
こうして買い物に来るのは初めてではない。
何度も一緒に来ているが、肩を組まれているのは初めて。だんだん組まれていることも忘れ、いつものように買い物を楽しみ出した。
「ひまり、欲しいものないの?」
「マフラーが欲しいの。この前無くしちゃって」
「よし、じゃあ見にいくか」
そういうといつも楓ちゃんが使っているらしきブランドのショップに連れて行かれた。
周りのお店とは少し違う空気感に背筋が伸びるよう。スタッフもみんなスーツで落ち着いた雰囲気。洗練されたお店というのがふさわしい。
そんなショップでも引けをとらない風格が楓ちゃんにはある。
「マフラー見せてもらえる?」
「かしこまりました」
スタッフは私たちを案内してくれ、数点出してくれた。
カシミアの肌触りのいい大判ストールが出てきて私は驚いた。こんなもの買えるわけがない。私が買いたいのは頑張っても5000円くらいのもの。何万もするものなんてOLの私に買えるわけがない。
私はどう断ろうかと言い淀んでいるとピンクベージュのマフラーをふわりと首に巻かれた。
「うん、これいいんじゃないか?」
「あ、あ、うん。でも……」
店員さんが私たちの顔を見て笑いかけてくる。
どうしよう。
「これいただきます」
そういうとさっと財布からカードを取り出し店員に渡す。
「待って、楓ちゃん。私が買う!」
そういうと楓ちゃんは頷きながらまた頭をぽんぽんとされ、黙らせられる。
店員さんはマフラーを受け取ると楓ちゃんのカードを持ち、カウンターへ行ってしまった。
「楓ちゃん、こんなに高いもの買ってもらえないよ」
私は小さな声で伝えるが楓ちゃんは聞いてくれない。
「ひまり、昨日のバレンタインのチョコのお返しだから気にするな。陽太からだって色々もらってるだろ?俺のは受け取れない?」
「確かに陽ちゃんには洋服とかもよくもらうけど」
「だろ?俺だってひまりにたまにはプレゼントしたいんだ」
いつも楓ちゃんにご馳走になることは多くてもプレゼントは誕生日にもらうくらい。
陽ちゃんからは気軽に洋服をもらうけど、楓ちゃんからは何となく気軽に受け取りにくい。どうしてだろう。
私が考えている間にふと楓ちゃんもマフラーを選んでいることに気がついた。
楓ちゃんは私と同じ素材の色違いを何点か手に持ち選んでいるようだ。
「楓ちゃんも買うの?」
「ああ、良さそうだから俺も買おうかな」
楓ちゃんの茶系のコートにダークグレーのマフラーがよく似合いそうだと思った。
私が楓ちゃんの首に巻いてあげようと背伸びするとヒールがぐらつき、バランスを崩した。
とっさに楓ちゃんは私を抱き止めてくれた。
「ご、ごめん」
「ひまり、気をつけろよ」
そういうと私から手を離した。
私は手にしていたマフラーを手渡し、楓ちゃんに巻いてもらうととても似合う。
「ひまりに見立ててもらえて嬉しいよ。これにするよ」
すると店員に手渡し、すぐに使うのでタグを取ってもらうようお願いをしていた。
私はお店を出ると楓ちゃんに頭を下げた。
すると楓ちゃんはいつも通り、頭をぽんぽんとして笑いかけてくれた。
「ひまり、このあとどうする?ちょっと買い物でも行かないか?」
「うん」
また、さっと私の肩を抱くように手を回し駅に向かう。
いつもと違うこの距離感にどうしたらいいのかよくわからない。
陽ちゃんなら気にもしないのに、楓ちゃんにされると何かが違う。
ショッピングモールに着くと雑貨や服を見ながらぶらぶらと歩き回る。
こうして買い物に来るのは初めてではない。
何度も一緒に来ているが、肩を組まれているのは初めて。だんだん組まれていることも忘れ、いつものように買い物を楽しみ出した。
「ひまり、欲しいものないの?」
「マフラーが欲しいの。この前無くしちゃって」
「よし、じゃあ見にいくか」
そういうといつも楓ちゃんが使っているらしきブランドのショップに連れて行かれた。
周りのお店とは少し違う空気感に背筋が伸びるよう。スタッフもみんなスーツで落ち着いた雰囲気。洗練されたお店というのがふさわしい。
そんなショップでも引けをとらない風格が楓ちゃんにはある。
「マフラー見せてもらえる?」
「かしこまりました」
スタッフは私たちを案内してくれ、数点出してくれた。
カシミアの肌触りのいい大判ストールが出てきて私は驚いた。こんなもの買えるわけがない。私が買いたいのは頑張っても5000円くらいのもの。何万もするものなんてOLの私に買えるわけがない。
私はどう断ろうかと言い淀んでいるとピンクベージュのマフラーをふわりと首に巻かれた。
「うん、これいいんじゃないか?」
「あ、あ、うん。でも……」
店員さんが私たちの顔を見て笑いかけてくる。
どうしよう。
「これいただきます」
そういうとさっと財布からカードを取り出し店員に渡す。
「待って、楓ちゃん。私が買う!」
そういうと楓ちゃんは頷きながらまた頭をぽんぽんとされ、黙らせられる。
店員さんはマフラーを受け取ると楓ちゃんのカードを持ち、カウンターへ行ってしまった。
「楓ちゃん、こんなに高いもの買ってもらえないよ」
私は小さな声で伝えるが楓ちゃんは聞いてくれない。
「ひまり、昨日のバレンタインのチョコのお返しだから気にするな。陽太からだって色々もらってるだろ?俺のは受け取れない?」
「確かに陽ちゃんには洋服とかもよくもらうけど」
「だろ?俺だってひまりにたまにはプレゼントしたいんだ」
いつも楓ちゃんにご馳走になることは多くてもプレゼントは誕生日にもらうくらい。
陽ちゃんからは気軽に洋服をもらうけど、楓ちゃんからは何となく気軽に受け取りにくい。どうしてだろう。
私が考えている間にふと楓ちゃんもマフラーを選んでいることに気がついた。
楓ちゃんは私と同じ素材の色違いを何点か手に持ち選んでいるようだ。
「楓ちゃんも買うの?」
「ああ、良さそうだから俺も買おうかな」
楓ちゃんの茶系のコートにダークグレーのマフラーがよく似合いそうだと思った。
私が楓ちゃんの首に巻いてあげようと背伸びするとヒールがぐらつき、バランスを崩した。
とっさに楓ちゃんは私を抱き止めてくれた。
「ご、ごめん」
「ひまり、気をつけろよ」
そういうと私から手を離した。
私は手にしていたマフラーを手渡し、楓ちゃんに巻いてもらうととても似合う。
「ひまりに見立ててもらえて嬉しいよ。これにするよ」
すると店員に手渡し、すぐに使うのでタグを取ってもらうようお願いをしていた。