幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
楓ちゃんの最寄りの駅まで移動し、途中でスーパーに寄った。
私たちは散々悩んだが鍋にすることにした。これなら私でも失敗のしようがない。でも手料理かと言われると違うと思う。切って煮るだけだもん。それでも楓ちゃんはなんだか楽しそうだった。
楓ちゃんはなんだかたくさん買い込み、袋が二つになったが軽々と持ち、また私の肩を抱くようにマンションへ向かった。
今日はずっと肩を組まれ慣れてきたと思ったが荷物があるのに片手で持ってまでして肩を組まれるとそれはまた別の話。
楓ちゃんに守られているような、包み込まれているような気持ちになってしまいドキドキしてしまった。
「ひまりがうちに来るのは2年ぶりくらい?」
突然話しかけられ、反応が遅れてしまう。
「あ、うん。そうだね。あの時は陽ちゃんもいたよね。私が仕事辞めたいって言って2人が慰めてくれたよね」
「そうだな。でもあそこで頑張れたから今がある。ひまりの努力を尊敬するよ」
楓ちゃんに改めて言われると胸の奥が熱くなる。
私はまた入社1年目の冬、先輩の失敗を押し付けられ私が謝罪しに行くことになった。相手先に足が震えながらも謝りに行き、私はどうにか社に戻った。すると先輩からは自分が取りなしたおかげだと言われ、上司にも私のせいだと報告されてしまった。私にはまったく関わりのない仕事なので身に覚えもないがなすりつけられ、私には反論させてもらう余地さえなかった。もちろん上司からも注意を受け、私はくやしくて辞めたくなってしまった。周囲の私をみる目が変わり、仕事を回してもらえなくなってしまった。
もう辞めようと、と思っていたときたまたま楓ちゃんから連絡がきた。
私は胸の中がいっぱいになり、駅にいたにもかかわらず泣きながら電話で話をしていた。
すると楓ちゃんはすぐに駅まで駆けつけてきてくれた。
電話口で話を聞いていてくれたと思っていたら気がつくと隣に立っていたときには驚いた。同じ駅を使っているとはいえ楓ちゃんは忙しい身のはず。なのに息を切らせながら私を迎えにきてくれたのだ。
私は抱きつき、人目を気にすることなくワンワン泣き始めてしまった。
楓ちゃんは私を抱きかかえるように駅の改札を出るとタクシーを捕まえ、私をマンションに連れて行ってくれた。一度事務所に戻らなければならない楓ちゃんは陽ちゃんを呼び出すと交代で戻って行ったが、仕事を切り上げてくれ、私の話を2人とも夜通し聞いてくれた。
結局先輩の横暴な仕事ぶりは周囲の知ることとなり先輩は今までもミスを隠蔽していたこと発覚し自ら退職していった。
もちろん先輩も悪いが、きちんと反論できなかった自分にも悪いところはあると反省し、仕事に向き合うようになった。するとまわりも徐々に認めてくれ、私は仕事をもらえるようになった。
そんな思い出が呼び起こされ、私は固くなってしまった。
「悪い、嫌なこと思い出させたな」
私は首を振る。
でも無意識に体をこわばらせ、楓ちゃんのコートを握りしめていた。
「ひまりが悪いことなんて何もなかった。相手の自業自得だし、今のひまりがあるのは努力した成果だろ。終わったことはもう忘れろ」
「うん! 今はみんなも良くしてくれるし、仕事も楽しいの。デパートの販売員のみんなも良くしてくれるしね」
私が話すと楓ちゃんは頭をガシガシと撫でてくれた。
「そうだ! 努力は裏切らない」
私はぐちゃぐちゃになった髪の毛を手ぐしで整えながら楓ちゃんを見上げると目が合い、力強くうなずかれた。
私たちは散々悩んだが鍋にすることにした。これなら私でも失敗のしようがない。でも手料理かと言われると違うと思う。切って煮るだけだもん。それでも楓ちゃんはなんだか楽しそうだった。
楓ちゃんはなんだかたくさん買い込み、袋が二つになったが軽々と持ち、また私の肩を抱くようにマンションへ向かった。
今日はずっと肩を組まれ慣れてきたと思ったが荷物があるのに片手で持ってまでして肩を組まれるとそれはまた別の話。
楓ちゃんに守られているような、包み込まれているような気持ちになってしまいドキドキしてしまった。
「ひまりがうちに来るのは2年ぶりくらい?」
突然話しかけられ、反応が遅れてしまう。
「あ、うん。そうだね。あの時は陽ちゃんもいたよね。私が仕事辞めたいって言って2人が慰めてくれたよね」
「そうだな。でもあそこで頑張れたから今がある。ひまりの努力を尊敬するよ」
楓ちゃんに改めて言われると胸の奥が熱くなる。
私はまた入社1年目の冬、先輩の失敗を押し付けられ私が謝罪しに行くことになった。相手先に足が震えながらも謝りに行き、私はどうにか社に戻った。すると先輩からは自分が取りなしたおかげだと言われ、上司にも私のせいだと報告されてしまった。私にはまったく関わりのない仕事なので身に覚えもないがなすりつけられ、私には反論させてもらう余地さえなかった。もちろん上司からも注意を受け、私はくやしくて辞めたくなってしまった。周囲の私をみる目が変わり、仕事を回してもらえなくなってしまった。
もう辞めようと、と思っていたときたまたま楓ちゃんから連絡がきた。
私は胸の中がいっぱいになり、駅にいたにもかかわらず泣きながら電話で話をしていた。
すると楓ちゃんはすぐに駅まで駆けつけてきてくれた。
電話口で話を聞いていてくれたと思っていたら気がつくと隣に立っていたときには驚いた。同じ駅を使っているとはいえ楓ちゃんは忙しい身のはず。なのに息を切らせながら私を迎えにきてくれたのだ。
私は抱きつき、人目を気にすることなくワンワン泣き始めてしまった。
楓ちゃんは私を抱きかかえるように駅の改札を出るとタクシーを捕まえ、私をマンションに連れて行ってくれた。一度事務所に戻らなければならない楓ちゃんは陽ちゃんを呼び出すと交代で戻って行ったが、仕事を切り上げてくれ、私の話を2人とも夜通し聞いてくれた。
結局先輩の横暴な仕事ぶりは周囲の知ることとなり先輩は今までもミスを隠蔽していたこと発覚し自ら退職していった。
もちろん先輩も悪いが、きちんと反論できなかった自分にも悪いところはあると反省し、仕事に向き合うようになった。するとまわりも徐々に認めてくれ、私は仕事をもらえるようになった。
そんな思い出が呼び起こされ、私は固くなってしまった。
「悪い、嫌なこと思い出させたな」
私は首を振る。
でも無意識に体をこわばらせ、楓ちゃんのコートを握りしめていた。
「ひまりが悪いことなんて何もなかった。相手の自業自得だし、今のひまりがあるのは努力した成果だろ。終わったことはもう忘れろ」
「うん! 今はみんなも良くしてくれるし、仕事も楽しいの。デパートの販売員のみんなも良くしてくれるしね」
私が話すと楓ちゃんは頭をガシガシと撫でてくれた。
「そうだ! 努力は裏切らない」
私はぐちゃぐちゃになった髪の毛を手ぐしで整えながら楓ちゃんを見上げると目が合い、力強くうなずかれた。