幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
楓ちゃんのは部屋は9階にある角部屋。
大きなリビングに書斎とベッドルームのある2LDK。
大学を卒業したころはこんなにいい部屋ではなかったみたいだけど3年前にここへ引っ越してきた。
こんな部屋に住めるなんて弁護士って凄い。
東京駅から少ししか離れていないし、駅からも近い。その上9階で、このマンションの最上階。
初めて来た時には余裕がなくて気が付かなかったけど楓ちゃんの部屋はモノトーンでまとめられていて物が少ない。
テーブルの上やキッチンカウンターなど物が出ておらずきちんと片付いていた。
照明はこだわっているのかダイニングの上には紙で出来ているように見える凝った丸型のもの。リビングにはライトスタンドが置かれ、その隣には夜景が見えるようにレザーの椅子が置かれていた。ソファは合わせているのか同じ色のレザーに見える。

「楓ちゃんの部屋はおしゃれだね。急に来ても片付いてるし、陽ちゃんと大違い。陽ちゃんの部屋はカラフルで元気な感じだよね。でも片付けられないから時々手伝わされるけど、ここは必要ないね」

「陽太の部屋によく行くのか?」

「うーん。たまに、かな。洋服もらったりとかする時にお邪魔して、そのお礼に掃除してくる感じかな。あ、でもそのあとご飯をご馳走になるからお礼になってないのかも」

楓ちゃんは私の話を聞いて、はぁと大きなため息をついた。
何かいけないこといったかな?

「ひまり、お前は女だから簡単に男の家に行くな」

「陽ちゃんの部屋でも? 私だって人を見てるよ」

楓ちゃんは何かいいたそうだったが、言葉を飲みこんでしまった。

「まずは何か飲むか? ひまりの好きなフレーバーティーあるぞ」

「本当?」

新品の箱のフィルムをはがし、5種類の中から選び出す。
楓ちゃんはすでにキッチンでお湯を沸かしており私は出されたカップにキャラメルフレーバーを入れた。楓ちゃんはいつもコーヒーなのでドリップバッグがセットされていた。
楓ちゃんは沸いたお湯をカップに注いでくれ、それをもち私たちはソファへ移動した。深めのソファにゆったり座ると体を包み込むような程よい心地よさでホッとする。

「ひまりの好きなクッキーもちょうどあるんだ。待ってて、今持ってくるから」

今座ったばかりなのにまた立ち上がりキッチンへ戻って行く。
すぐにお皿に乗せられたクッキーを持ってきてくれた。
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