幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
「俺もやるよ」
「でも、私が作るって言ったから」
「2人でやれば何でも楽しいよ」
冷蔵庫を開けると野菜や肉を取り出し始めた。
2人で並んで手を洗い私が切ったものを楓ちゃんは手際よく入れ物に並べて行く。綺麗に盛り付けられた野菜は楓ちゃんの几帳面さが表れているみたい。
あっという間に下拵えを終え、ダイニングに並んでテレビの方を向きながら座った。
結局楓ちゃんが作ってくれて私は出来たものをとんすいに盛られて箸をすすめてばかりだった。
「変わるよ。楓ちゃん食べれてるの?」
「食べてるよ。人と食べるご飯は美味しいな。またひまりが来てくれると嬉しいな」
「うん。楓ちゃんが喜んでくれるならまた来る」
私は思ったことをそのまま口にした。
「俺はいつでもひまりなら大歓迎だから」
そういうとチェストに入っていた合鍵を差し出された。
え?流石に合鍵はダメじゃないかな。
今は彼女がいなくてもそのうちできた時に困るはず。幼なじみの私がこれを持っていたらいい顔するはずない。また私は敵認定され、意地の悪いことをされる。
そう思うと受け取る訳にはいかなかった。
「楓ちゃん、これは幼なじみに渡すものじゃないよ。楓ちゃんの彼女ができた時に意地悪されちゃうよ」
私はおどけるように楓ちゃんの鍵を持つ手を押し返した。
すると楓ちゃんは真面目な顔になり私の手をまた押し返してきた。
「俺はひまりだから渡したいんだ。ひまりにしか渡さない。これまでもこれから先も他の人に渡すつもりはないから安心しろ」
どういう意味?
私は考えあぐねていると私の手のひらに強引にのせ、握らせてきた。
「これはひまりのだからな。いつ来てもいい。俺のいない時でも入っていいし、好きに使えばいい」
私の手のひらには無機質な鍵が握らされている。
なんて返事をすればいいのかわからない。
「ひまり。ひまりにはうちにもっと来て欲しいんだ。ダメか?」
まるでさっきのデジャブのように楓ちゃんの尻尾が萎れ、耳も垂れ下がったように見える。
こんな姿は珍しい。
大人な楓ちゃんの意外な一面に私は可愛く思えてしまうなんてどうかしてる。
いつもの自信満々な楓ちゃんが好きだけど、こんな姿を見てしまうと喉の奥がキュンとしてしまう。
どうしちゃったんだろう。
「ひまりはここに来るのが嫌か? やっぱり陽太の方がいいか?」
「そんなことないよ」
私は即答した。
楓ちゃんだからとか陽ちゃんだから、とかではない。
ただ、合鍵の重みに私は受け取るのを躊躇ってしまっているのであって楓ちゃんが嫌いなわけではない。
いつまでも何も言わない私に楓ちゃんは困ったような表情を浮かべながら私の顔を覗き込んできた。
「使わなくてもいいんだ。ひまりに持っていて欲しい」
ダメ押しのように言われ、私は小さく頷いた。
するとホッとしたような表情を浮かべ、小さく微笑んでくれた。
2人で並んで食器を片付けると楓ちゃんは家まで車で送ってくれた。
地下駐車場に降りると高級車が並んでおり圧倒される。
楓ちゃんの車はコンパクトだが、視線を落とすとハンドルには有名なエンブレムがついていた。
とてもスムーズな運転で私はお腹もいっぱいになり、つい眠ってしまった。
「でも、私が作るって言ったから」
「2人でやれば何でも楽しいよ」
冷蔵庫を開けると野菜や肉を取り出し始めた。
2人で並んで手を洗い私が切ったものを楓ちゃんは手際よく入れ物に並べて行く。綺麗に盛り付けられた野菜は楓ちゃんの几帳面さが表れているみたい。
あっという間に下拵えを終え、ダイニングに並んでテレビの方を向きながら座った。
結局楓ちゃんが作ってくれて私は出来たものをとんすいに盛られて箸をすすめてばかりだった。
「変わるよ。楓ちゃん食べれてるの?」
「食べてるよ。人と食べるご飯は美味しいな。またひまりが来てくれると嬉しいな」
「うん。楓ちゃんが喜んでくれるならまた来る」
私は思ったことをそのまま口にした。
「俺はいつでもひまりなら大歓迎だから」
そういうとチェストに入っていた合鍵を差し出された。
え?流石に合鍵はダメじゃないかな。
今は彼女がいなくてもそのうちできた時に困るはず。幼なじみの私がこれを持っていたらいい顔するはずない。また私は敵認定され、意地の悪いことをされる。
そう思うと受け取る訳にはいかなかった。
「楓ちゃん、これは幼なじみに渡すものじゃないよ。楓ちゃんの彼女ができた時に意地悪されちゃうよ」
私はおどけるように楓ちゃんの鍵を持つ手を押し返した。
すると楓ちゃんは真面目な顔になり私の手をまた押し返してきた。
「俺はひまりだから渡したいんだ。ひまりにしか渡さない。これまでもこれから先も他の人に渡すつもりはないから安心しろ」
どういう意味?
私は考えあぐねていると私の手のひらに強引にのせ、握らせてきた。
「これはひまりのだからな。いつ来てもいい。俺のいない時でも入っていいし、好きに使えばいい」
私の手のひらには無機質な鍵が握らされている。
なんて返事をすればいいのかわからない。
「ひまり。ひまりにはうちにもっと来て欲しいんだ。ダメか?」
まるでさっきのデジャブのように楓ちゃんの尻尾が萎れ、耳も垂れ下がったように見える。
こんな姿は珍しい。
大人な楓ちゃんの意外な一面に私は可愛く思えてしまうなんてどうかしてる。
いつもの自信満々な楓ちゃんが好きだけど、こんな姿を見てしまうと喉の奥がキュンとしてしまう。
どうしちゃったんだろう。
「ひまりはここに来るのが嫌か? やっぱり陽太の方がいいか?」
「そんなことないよ」
私は即答した。
楓ちゃんだからとか陽ちゃんだから、とかではない。
ただ、合鍵の重みに私は受け取るのを躊躇ってしまっているのであって楓ちゃんが嫌いなわけではない。
いつまでも何も言わない私に楓ちゃんは困ったような表情を浮かべながら私の顔を覗き込んできた。
「使わなくてもいいんだ。ひまりに持っていて欲しい」
ダメ押しのように言われ、私は小さく頷いた。
するとホッとしたような表情を浮かべ、小さく微笑んでくれた。
2人で並んで食器を片付けると楓ちゃんは家まで車で送ってくれた。
地下駐車場に降りると高級車が並んでおり圧倒される。
楓ちゃんの車はコンパクトだが、視線を落とすとハンドルには有名なエンブレムがついていた。
とてもスムーズな運転で私はお腹もいっぱいになり、つい眠ってしまった。