幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
「ひまり、ごめん。何回も。お腹すいただろう? 昨日の夕飯食べ損ねたな」

「う、うん。お腹すいたかも」

「風呂に入ったら食事を運んでもらおう」

そういうと私を抱きかかえお風呂に連れて行ってくれる。
朝の明るい中2人ではいるなんて恥ずかしい。
でも立ちあがろうとしたら足に力が入らなくてビックリした。
楓ちゃんに謝られ、さらに恥ずかしくなったがこれ以上に恥ずかしいことがあるなんて思わなかった。
泡立った石鹸を彼の手で体を洗われ、抱きかかえられながら湯船に入ってしまった。
バスタオルで体を拭かれ、もう自分でできるというのに着替えまで手伝ってくれた。

「楓ちゃん、恥ずかしいよ」

「可愛いな。本当に可愛いよ。ひまりを甘やかしたいんだ」

「十分今までも甘やかされてるよ」

私が反論すると楓ちゃんは笑っていた。

「こんなもんじゃないぞ。俺の人生は全てひまりに捧げるよ。ひまりがずっと笑っていられるように見守るよ」

「私の人生も楓ちゃんに捧げます」

私はそう言うと首に手を回して自分からキスをした。

楓ちゃんは耳元でまた囁いた。

「結婚しよう」と。
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