幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜

エピローグ

純白のウェディングドレスに身を包み、私は控室で声がかかるのを待っていた。

ドアをノックする音が聞こえてきた。

「入ってもいい?」

「え? うん。大丈夫」

すると陽ちゃんが入ってきた。

「ひまりー。すごく綺麗だよ。本当に可愛い。あぁ、本当に嫁にいっちゃうなんて寂しいよ」

「何言ってるの。家族になるんだよ。陽ちゃんの本当の家族にして」

「本当の家族か。そうだよな。すごく嬉しいよ」

陽ちゃんは私の頭を撫でながらヨシヨシとしてくる。

「楓太は昔からひまり一筋だったんだぞ」

「え?」

「知らなかっただろう。ひまりしか見えていなかったよ。いつもひまりが最優先。だからひまりに何かあった時はすぐに知っていただろう?」

そう言われると何あると気がついて話を聞いてくれていたのは楓ちゃんだった。家まで話を聞きにきてくれることもあった。
そんなことを思い出していると陽ちゃんは笑っていた。

「思い当たることがあるんだろう? な、俺はひまりのお兄ちゃんだけどあいつは昔から違ったんだよ。ひまり一筋。だから幸せになれよ。何かあったらお兄ちゃんが駆けつけるからな」 

私が笑いながら頷くとまたドアをノックする音が聞こえてきた。

「はい」

「入っていい?」

「あ、うん」

するとタキシードを着た楓ちゃんが入ってきた。

「おい! 何で陽太がいるんだよ。どうして俺より先にひまりのドレス姿見てんだよ!」

本気で怒っている楓ちゃんに陽ちゃんはケラケラ笑っていて喧嘩するのではないかとヒヤヒヤする。

「俺はひまりのお兄ちゃんだからな。だからお前も俺を敬えよ。それに新郎は式の前に花嫁に会ったらいけないんだぞ。ほら、部屋を出るぞ」

そういうと陽ちゃんに引っ張っていかれた。
やっぱり双子、仲がいい。
私は思わず笑顔が溢れた。

またノックする音が聞こえるといよいよ式が始まるための呼び出しだった。
お父さんの手に腕を絡ませ、一歩ずつ楓ちゃんの待つ所まで歩みを進める。
頭を下げると私の手は楓ちゃんの腕に絡ませられる。
目が合うと耳元に顔が近づいてきて小さな声で囁いてきた。

「今日のひまりも最高に可愛い。俺は幸せだ。ひまりも幸せにするからな」

私は彼のささやきを聞き胸の中が熱くなった。


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