幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
「2人とも、ご馳走様でした。すごく美味しかった。頼り甲斐のあるお兄ちゃんたちで嬉しい」

私がそう言うと、陽ちゃんは笑いながら「また来ような」と返してくれる。
楓ちゃんも頭をポンポンとして「また連れてきてやるよ」と。

結局私たちは揃って陽ちゃんのマンションへ移動した。
陽ちゃんのマンションはここから二駅となり。駅からも少し離れているので3人で並んで話しながら歩いた。
私はこうして何気ない会話を3人でしていることが楽しい。
マンションへ着くと陽ちゃんは部屋から大きなショッパーを持ってきた。

「陽ちゃん、こんなに?」

「あぁ。ひまりに似合いそうだからさ。今シーズン人気のものも入ってるからあとでゆっくり見て」

「ありがとう! 陽ちゃん大好きー」

私は嬉しくなり、陽ちゃんに抱きつくと陽ちゃんもハグしてくれる。

「ほら、帰るぞ」

そう言って楓ちゃんは私たちを引き離した。
楓ちゃんの顔はどことなく怖く、促されるままに陽ちゃんに手を振るともときた道を駅へ向かう。

「楓ちゃん、わざわざついて来なくても良かったのに。ごめんね、忙しいのに付き合わせちゃって」

「いや、大丈夫だから。それにひまりが1人で歩いてるとわかってて心配しているよりは安心していられるから」

そう話すと、陽ちゃんからもらった大きなショッパーを私の手からさっと取り上げ、肩にかけてしまう。

「楓ちゃん、持てる! 大丈夫だよ」

「ま、いいから。それよりひまりは明日休みなのか?」

駅へ向かう途中にそう話を切り出して来た。
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