復活の村
☆☆☆

それからヒトミは僕を村の見学に連れて出てくれた。


この村には一通り案内してもらったじゃないかと言ったのだけれど、僕と2人になりたいのだと言われては、断れなかった。


のどかな田園風景を歩きながら大きく息を吸い込む。


東京とは比べ物にならないくらいに空気が澄んでいておいしい。


車が行き交う交差点で深呼吸をすれば咳き込んでしまうところだけれど、ここではそういうこともない。


「いい村だね」


ゆっくりと歩きながら言うと、ヒトミは嬉しそうに微笑んだ。


「なにもない村だけど、私ここが大好きなの」


そうなるのもわかる気がする。


「車の免許を取ってここに暮らそうか」
< 100 / 197 >

この作品をシェア

pagetop