復活の村
☆☆☆

ヒトミを寝かしつけた母親が戻ってきたとき、キッチンはすっかりきれいになっていた。


ただ、虫を切ったまな板はもう使いものにならないので、捨てる他なかったのだけれど。


「戻ってきた人間はみんなあんな風になるのか?」


口火を切ったのは父親だった。


眠ったヒトミを起こさないよう、小声だ。


「そんなの聞いたこともないわよ」


月明かりで照らし出される両親の顔は青白い。


夜も開けきらない頃から娘が起き出して虫料理を作っていたのだから、まだ動揺しているみたいだ。
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