復活の村
だけど、今は違った。


どれだけ引っ張ってもヒトミの体はぐらつかない。


それどころか、僕の方がヒトミに引っ張られてしまうのだ。


こんな力がどこにあるんだ?


驚くと同時に驚愕している間に、僕は文字通りヒトミに引きずられて池の前まできていたのだ。


腐った水の匂いは更に強くなってきているようで、近づくだけで顔をしかめてしまう。


けれどヒトミはそんなことにも気が付かないようで、ジッと濁った湖面を見つめている。


下手をすれば池に飛び込んでしまうんじゃないかと不安になり、僕はずっとヒトミの手を握ったままだった。


どれだけそうしていただろうか?

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