復活の村
「あぁ」


僕は少しだけ気持ちが和むのを感じて微笑んだ。


あの池で言われた一言はまだ胸に衝撃を残したままだったが、帰宅してからのヒトミはそのことについてなにも言わなかった。


どうしてあんなことを聞いてきたのか、わからないままだ。


洗い物を終えて客間に戻るとようやく人心地がつく思いだった。


いつまでもこの村にいるわけにはいかない。


この村にいる限り、ヒトミは自分があの池で死んだということを思い出すかもしれない。


そう思うと今すぐにでもこの村から出て行きたくなってくる。


ただ、ここを出ていってヒトミと2人で暮らしていける自信はまだない。


やはり僕はまだこの村からでることはできないんだろう。


グルグルとループする思考回路に疲れてきた時、ノック音が聞こえてきた。


自然と姿勢を正して「はい」と返事をすると、母親が入ってきた。


「ヒトミがどこに行ったのか知らない?」
< 125 / 197 >

この作品をシェア

pagetop