復活の村
☆☆☆

「ヒトミ、大丈夫?」


脱衣所から浴室へと声をかける。


脱衣所にはヒトミが脱いだ衣服が散らかっていて、僕はそれをカゴの中へとほうりこんだ。


ヒトミがこうしてズボラなことをすることも珍しい。


浴室からの返事はなく、すりガラスの向こうで人が動いている気配もない。


「開けるわよ?」


母親の声に僕は一歩後ろへ下がった。


ヒトミの体は見慣れていたけれど、母親の前で直視するのはまずいと思ったのだ。


すりガラスのドアを開けた瞬間湯気が一気に流れ込んでくる。


その熱に僕は思わず顔をしかめた。


「ヒトミ!?」
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