復活の村
母親は悲痛な声を上げて浴槽へと入ったので、僕もその後に続いた。


真っ白な湯気の奥に見える、古いステンレス製の湯船にヒトミは肩までつかっていた。


追い焚きをしたままなのか湯船はボコボコと音を立ててゆだっている。


僕は手を伸ばしてガスを止めた。


手を湯船につけてみるとそれは熱湯といってもいいほどの熱さになっていて、すぐに引っ込めた。


「ヒトミ、ヒトミ!!」


母親が両手を熱湯につけてヒトミの体を湯船から引き上げようとする。


ヒトミの体は真っ赤になっていて、引き上げると同時に皮膚がズルリと剥がれ落ちた。


「キャア!!」


悲鳴を上げて尻もちをつく母親。


ヒトミの体は支えを失って再び湯船の中に落ちてしまった。


「くそっ」
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