復活の村
熱されたチェーンを引っ張り湯船の栓を引き抜く。


窓を開けて視界を遮っていた湯気を外に排出する。


そうしてようやく僕は湯船に両足を突っ込むと、ヒトミの体を抱きかかえた。


ヒトミの体は熱を持ち、触れた場所から皮膚がズルズルと引き剥がれていく感触があった。


それでもどうにか脱衣所に寝かせ、シャワーで水を浴びせることに成功した。


「ヒトミ、目を開けろ!」


懸命に声をかけてもヒトミは目を開けない。


剥がれ落ちた皮膚からはドロリとした血液な流れ出し、それはあの腐敗した池を彷彿とさせる匂いを漂わせていた。


「すぐに病院に連れて行かないと!」


異変に気がついて駆けつけたユウジくんが叫ぶ。


しかし、病院は隣町にまで出ないとない。


ヒトミも全裸のまま移動させるわけにはいかなかった。
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